手の届かないキミと
おまけSS。
好きだった人。
Side ハル
「おい」
放課後、亜季を家まで送り届けてから、俺はサトルんちを尋ねていた。
「あれ、ハルくんじゃん。久しぶりだね~」
でも用事があるのはサトルじゃなくて、まるで俺が来るのを知ってて待ってたとでも言うように
見え見えな知らないふりを決め込んでいる、この、サトルの姉のほうだ。
「なーに、サトルならまだ帰ってきてないけど」
「知ってる。カラオケ行くって言ってた」
「そう。ハルくんは一緒に行かなかったの?」
あくまで何も知らないとでもいうように、そんなことを聞いてくるミチル。
でも俺はわかってる。
一体何歳のころから知ってると思ってるんだ。
そう俺が思うように、ミチルも思ってることはきっと一緒だろう。
ミチルがその顔をふっとゆるめた気がした。