眼鏡男子の脳内デフラグ
―――
「おはよう」
…………………
「おはよう」
「……僕に言ってますか?」
「そうだよ。おはよう秋山くん」
彼女は確か……
「松井さん、おはようございます」
挨拶を済ませて席に座った
知らなかった
同じクラスなのは知っていたが、まさか自分の後ろの席だったとは
新学期から1週間余りにして知った新事実
「あたしの名前知ってたんだね?」
「昨日、登録しましたから」
「あ、そうだよね」
そう。カード登録と一緒に自分の脳内にも登録した
「それまでは、知らなかったよね?」
「はい」
「一緒のクラスなのに?」
あの……
「この会話に意味はあるんですか?」
「あるよ」
え、重要なキーワードなんかあったか?
「あたしが暇だから、相手になって」
…………………
「他を当たって下さい」
「そんなこと言わないでさ。せっかくクジで決まった席なんだし。運命だと思って」