眼鏡男子の脳内デフラグ

彼女がカウンターから出れば

学級委員の彼は

それは、当たり前のように

彼女の手を掴んで部屋から出て行った




僕の手は急に寂しくなってしまって

代わりに彼の手が温かくなっていく



そうか

これが

嫉妬というものか




彼は彼女の手のひらを、あっという間に捕まえた

僕は無意識の行動の結果といえども、手の甲で精いっぱいで




なぜ、彼は彼女が図書室にいたことを知っていたのか?

わざわざ迎えに来たのか?

そんなことは、どうでもいい




空間が春から急に冬になったように感じる

まるで不正アクセスされたような感覚




おそらく、僕よりも

彼の方が色んな言葉を知っているでしょう

彼は彼女を色んな世界へ連れて行くことができるから

彼の方が彼女に似合うでしょう


そんなことは百も承知です



承知ですが



この空間だけは守りたいと思うのはいけませんか?

いつか彼女から貰ったチョコのように
図書室から消えてしまうのは嫌だと思うのはいけませんか?





守るために何をするべきか

答えは一つ


セキュリティを強化すればいい








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