眼鏡男子の脳内デフラグ
「急いでないよ。つい、ベルが鳴ったのを聞いたら飛び出しちゃった」
「すみません」
「……お待たせしました。行きましょう」と足を一歩踏み出したけれど
前に進めなかった
彼女が僕の腕を掴んでいたから
「なんで?」
「………何のことですか?」
「なんで、いつも謝るの?」
!!
「……悪い癖でして」
「でも!」
グッとこらえる
「………手が離れてしまったので、松井さんの手のぬくもりの余韻に浸ってました」
本音半分、嘘半分
「我儘言いましたね」
「……でも」
「行きましょう?」
「……うん」
あなたといると
言い訳とか
誤魔化すことが
増えてしまいます
それでも
手をつないでいたいと
思ってしまうのはいけませんか?