眼鏡男子の脳内デフラグ
「……大袈裟に考えないでくださいね?」
「…うん」
人差し指で自分の胸を指した
「ちょっと、ここに不具合がありまして」
「え…」
「……それだけです」
そう、それだけの事です
「つまらない話ですね」
彼女が今、どんなことを思い
どんな表情しているのかが分からない
眼鏡を外したことで自分にフィルターをかけました
それなのに
様子を窺ってしまう自分もいて
矛盾してる
「……帰りましょうか」
ーーーーギュッ
突然、右手が温かくなった
でも、彼女は何も言葉を発しなくて
ただ、手だけが温かくて
通り過ぎる車のライトが光っていて
その光さえも僕の目には、ぼやけて見えて
知りませんでした
言葉はいらない時もあるんですね