コンビニ砦の戦い(仮題)
今やれる事を
七時半になると同時に行くぞ!!という山本さんの野太い声が聞こえた。
僕達も弓を構えて塹壕から頭を出した。
今宮君が、先頭を走り少し距離をおいて山本さんが、走っていた。
今宮君の脚の速さは尋常では無く西の林にどんどん入っていった。
山本さんは、林の中まで行かずに大きな木に隠れるとそこから弓を二本放った。
西の林の方を見ると木の上に何人もゲツジンらしき影が見えた為僕達も大体の見当をつけて弓を放っていく。
誰の弓が当たったのか分からないが二人林から落ちて来た。
そこを、山本さんが、右足目掛けて弓を放つ。
見事に右足に命中して二人とも痙攣すると動きなくなる。
山本さんは様子を見ながら林に入っていった。
僕も塹壕からではとても弓が届かないので林に向かって走っていた。
井上ちゃんが、気をつけて!!と後ろで叫んだのが聞こえた。
チラッと後ろを見ると井上ちゃん、樋口さん、こと美ちゃん三人が塹壕から出て弓を構えていた。
やはり三川君だけ中にいるようだ。
僕は走りながら特に怖さを感じてない自分に驚いた。
とにかく、今自分がやれる事をやるんだと思っていた。
急に十年程前に父親が男は三十代からだよと真面目に言ったのを思い出した。