コンビニ砦の戦い(仮題)
三川君は僕達を見ると少し照れたように笑う。
せっかく痩せたのが元に戻っているように見えたがその表情は和らいでいた。
「工場で色々な物を作ってます。働いて無かったから慣れないけど、あんな経験をした後だと楽ですね。
あの時皆さんに比べたら何もしてなかったですけど恐怖でしたからね。
それに、工場では僕はヒーローなんですよ。」
三川君はそう言って笑った。
僕がヒーロー?と聞き返すと三川君は顔を赤くして話しを続けた。
「いや、あれだけのゲツジンと弓矢と鉄パイプで戦って無傷で帰ったって言われてるんですよ。
最初は違うんだって否定したんですが、否定すればするほど、謙虚な奴になっちゃって。
何度も言ったんですけどね。
今はもう何も言わないですよ。
工場でへまをしても、皆がヒーローだからってフォローが多くて得してます。
何だか皆さんには悪いんですけどね。」
僕も木本さんも笑ってそれは良かったと言った。
どういう事が有利に働くか分からないしかつては働いて無かった三川君がこうして普通に働いてるだけでも良いのだろう。
それに三川君もやはり親族を探せないでいるのを樋口さんに聞いていたから何とかここで頑張れたらなと思えたのだ。
「街の感じはどうかな?」
僕は期待せずにそれとなく三川君に聞いたが意外な言葉が返って来た。