コンビニ砦の戦い(仮題)
状況を少しだけ知っていたのは、店に来ていた中学生の田中こと美ちゃんだけだった。
こと美ちゃんはスマホで少し前に何者かがやって来て世界を破壊している事を知っていた。
ほんの数分前にそれを知ったこと美ちゃんだが、もちろん何も出来なかった。
当たり前だ。あまりに突然の事だったから中学生で有ろうと大学教授で有ろうと居たとしてアイアンマンで有ろうと何も出来なかっただろう。
こと美ちゃんは、日焼けした小柄だが大きな目をした理知的な少女だった。
中学三年生を少女と言うのは、もうおかしいかも知れないが、持っている雰囲気は少女の物だった。
学校帰りに、よくコンビニに寄っていた。
大抵買うのは、卵だったが、たまにティーン向けのファッション雑誌も買っていた。
自転車で来ていて、いつも急いでいるようだった。
ちなみに、スマホはあの一瞬の出来事の後全く繋がらなくなった。
ラジオもテレビもだ。