コンビニ砦の戦い(仮題)

「私は、なんともないです。だけど……」



こと美ちゃんの声がした。僕は渡辺さんの方に走って行くととにかく下からこと美ちゃんを引っ張り出すと一番後ろの棚まで連れて行った。


戻って渡辺さんに声をかける。



大きな声で渡辺さんと呼ぶが返事はなかった。


さっきまで笑っていたのに……


矢が近くに刺さったのが分かったが頭が混乱していた。



樋口さんが来ると僕に手伝えと言い後ろの棚まで渡辺さんを二人で連れて行こうとした。



二人で重くなった渡辺さんを何とか後ろの棚まで引きずって行った。


樋口さんはとにかくここにいて身を隠せと言うと自分自身はロックを外すと外に出た。



時間がどれくらい経ったか分からなかったが、僕達は一番後ろの棚で縮こまっていた。


渡辺さんには、その後も何度も声をかけたが、返事はなかった。


井上ちゃんが泣いていた。こと美ちゃんも泣いていた。三川君も泣いていた。


「おい!皆取り敢えず大丈夫だ!出てこい!」


山本さんの声で少しほっとした。


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