コンビニ砦の戦い(仮題)

道路に上がると身を横にして息を大きくしているのが分かった。



若い男のようで細い身体にジーンズとTシャツスニーカー姿だった。



髪は少し長く夜目にも分かる金髪だったが、あちこちに泥が付いていた。


その男はノロノロと立ち上がると助けて…とだけ言い道路に倒れた。


僕は、敵でないと分かると急いでその男のもとに走る。



僕より先に山本さんが男を抱き起こし水を持って来いと井上ちゃんに言った。


近くで見ると男なのか女なのか一瞬分からないような華奢で整った顔つきをしていた。



しかし、身体付きからして男なのは、間違いないようだ。



Tシャツもジーンズも酷く汚れている。



井上ちゃんが水を持ってくると山本さんは男の頬を軽く叩きながら声をかけた。


男はペットボトルの水を見ると急いで取りぐびぐびと飲んだ。



そうとう喉が乾いていたのだろう男の飲む音が静かな山あいに響くようだった。

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