コンビニ砦の戦い(仮題)
皆が出てきて遠巻きに男を観察していたが、山本さんが肩を貸して男をコンビニに連れて行こうとすると樋口さんも片方で支えながら中に入った。
店のカウンターの所に半身を起こして座らせた。
懐中電灯で樋口さんがあちこち身体を観察するとこと美ちゃんに救急箱をとってきてと言った。
樋口さんはバケツに綺麗なタオルを浸すと男のTシャツを脱がせて拭き始めた。
看護師だけあって樋口さんは要領が良かった。
男は、あちこち傷をおっていてタオルが直ぐに血で汚れたが、樋口さんは丹念に拭いた。
こと美ちゃんが、バケツの水を何度も代えて樋口さんを手伝った。
「すげえなあ!」
三川君が驚いたように声をあげたが僕も驚いていた。
男は細かったが鍛え上げた身体をしていた。
こういう時に称賛の声があがってしまうのも仕方ないくらいに鍛え上げられていた。
しかし、顔を拭くとそこにはまだ幼ささえ残る若い整った顔立ちが露になった。
美少年と言っても良かったが、何処かに僕は違和感を感じた。