コンビニ砦の戦い(仮題)
山本が、ぼそぼそ話すのを聞いているとコンビニの前を走る県道はかなり破壊されていて車ではとても行けないとの事と一キロメートルほど先は崖崩れで通れないとの事だった。
樋口は、それを聞きながらうんうんと頷いていた。
冷蔵庫から缶ビールをもう一本出すと山本に渡してご苦労ご苦労と言っている。
山本達夫は、この街の建設会社に勤めていて荒くれ者で有名な中年だった。
仕事は出来るらしいが、飲み屋街で暴れたとか他所から来たヤクザを三人ほど生意気だと言って叩きのめしたとかそういう噂の絶えない男だった。
身長は一メートル七十五の僕より少し低いが刺青の入った腕などは僕の二倍は有りそうだった。
年は確か四十代半ばだと思う。この店の先に工事現場が有り最近特によく来るようになっていた。
一方の樋口皆子は、初めてのお客だった。