図書室で愛をささやく



私の頬から手を離すと、椅子を引くカタンという音を立てて、立ち上がる。


「これ、戻しといてやるから勉強しとけ。」


とんでもない命令口調。


彼が私にそんな事を言う資格なんてないのに…


しかも散々邪魔しておいて、さっさと帰るし。


慣れなれしい人が私はすごく苦手なのに、それを従わせてしまう彼も、従ってしまう私も。


どこかイライラする。


関わりなんて持ちたくないの。


ほっといてくれれば十分。


関わった人との関係が、壊れたときが怖いから。




ふと顔を上げたときには、彼はもうすでにいなかった。






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