図書室で愛をささやく



チラリと壁掛け時計に目をやれば、ちょうど30分が経っていた。

さて、勉強を始めようか。

そう思って、パタンと本を閉じたとき。


「ずいぶんと難しい本を読むんだな。」


低くて落ち着いた声にはっとした。

顔を上げれば向かい側に男子生徒が座っていた。

バッチリ目が合う。

「俺はシェイクスピア派だけど。」

人に声をかけられるなんて久しぶりで、何も出来ずにいるとクスリと笑われた。

「大丈夫か。」

何か答えないと。

ことごとく私のコミュニケーション能力は堕落したらしい。

上手く言葉が見つからない。




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