図書室で愛をささやく



じーっと見つめられて、恥ずかしさに顔を背けた。

椅子に座り直した彼にほっとする。

気を抜いたとたん、手元から本が消えた。

「えっ、ちょっと何するんですか!」

どうして彼が持ってるのよ!

「静かに。」

不覚にも今度は私が身を乗り出してしたらしい。

彼の長い指先が唇に当たって、それを自覚する。

恥ずかしいし、彼に触れられた事が何よりも驚きで。

自分でも顔が赤くなるのが分かった。

「ねぇ。俺の事、名前で読んでよ。」

……どうしてそうなるの。

思わず睨んでしまったけど。

そうしたら返してやるから。

そう言って本をちらつかせた彼に負けた。


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