1年恋愛
夏だからまだ空はまだ明るい。

だけど時刻にすれば7時15分だ。
もう晩御飯を食べてる家があってもおかしくはない。
コンクール前は練習が長くなるからきつい…。

「じゃあ、マリア、莉佳ちゃんばいば~い!」

「バイバーイ!」
「さようなら!」

私は一人で歩き出した。
校庭の半分ほどを過ぎたところで、不意に後ろから声をかけられた。

「神崎っ!」

「・・・?」

振り返るとそこには優太がいた。

「どうしたの?」

首をかしげる。

「いや、後姿見えたからっ」

そう言ってまたあの笑顔。
自分でも顔が真っ赤なのがわかる。

「ふ…ふ~ん?あっそ。」

とっさにうつむく。

「ふはっ!そうだよ!どうせだから一緒に帰るか?」

うつむいた顔を覗き込まれる。

「ちょっばか!!顔が近いっっ!!!」

「お?あはは、ごめんごめん。」

明らかわざとっていうのが顔に出てる・・・。

「まあさ、今日の演奏すごかったよ。吹部の。これが言いたかったんだよ。」

「わざわざ?明日でも良かったし、いっそ言わなくても良かったのに。それに・・・」

優太が不思議そうな顔をする。

「それに?」

「あれは私一人の演奏じゃなくて、みんなで作り上げたものだから…。」

少しの沈黙。
あれ?私空気重くしちゃったかも…

「でっでもでもっ!ありがとうっっ!うれしい!」

「・・・・・。」


えぇ?どういう空気?何これ?なんなの~????
と、優太が口を開いた。

「そう・・・だよな。そうだな!みんなで作り上げたんだもんな!」

「・・・!うん!!」

それからは他愛のない話が続いた。

そして私は気付いてしまった。




彼に恋をしてる     ってことに。
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