エージェント Ⅱ
「トラジー!連れてきたでー!」
幹部室に入ると、大きなテーブルにソファーがあり、そのソファーに一人座っていた。
「思ったよりも遅かったなセーヤ。しかもずぶ濡れだし」
「あの土砂降りの中、走ったんやで!?」
「風邪ひかないでくれよ」
「それより、あっちはどうなってん」
「面白いほどに騒ぎになってる」
「やろな。さすがに姫さんが居なくなったんやからな」
「あのっ…!」
会話していた2人が、声を出したあたしの方へ振り向く。
「あの…」
ただ、いざ視線を向けられると、何て話していいか、わからない。
「心配せんとここにおったら、あんたの身は保証されるで」
「セーヤ、そんな言い方はないだろ。まあ、とりあえずそこに座ったら?」