エージェント Ⅱ
ーーー嘘だ。
嘘だとわかっているのに。
「ううっ…」
どうして涙が出るんだろう。
あたしは、バカだ。
単純だ。
あんなに酷いことをされてもなお、シンヤの事を忘れられない自分が嫌になる。
言葉一つで心揺さぶられる自分が嫌になる。
「シンヤっ…星矢さんっ…」
後悔するってわかってる。
何のために逃げてきてのか、理由を見失ってる。
それでも、動き出した足は止まらない。
あたしは考えて動くことができないから、感情のままに動くしかないんだ。
「星矢さん、ごめんなさいっ…」
買ってもらったばかりのバッグに携帯2つ、財布と、星矢さんにもらった封筒を入れ、
外へと飛び出した。