エージェント Ⅱ





「美園さん、どちらに行かれるんですか?」

「ちょっと、出て行きますっ…」




執事さんに呼び止められながらも、そのまま家を飛び出す。




星矢さんの家を出ると、まだ数回しか通ってない道を歩き、大きな道路にでる。



タクシーを拾い、目的地を告げる。




タクシーから見える窓の外は、まったく知らない街。


何も知らない街。




ーーどうしよう。




思い立って出てきたのはいいけれど、本当に良かったのだろうか。



そんな事を思うけど、だからといって引き返す事も考えられない。




心、落ち着かせるために。



戻ろう、

あたしの故郷に。





< 102 / 178 >

この作品をシェア

pagetop