エージェント Ⅱ
「美園さん、どちらに行かれるんですか?」
「ちょっと、出て行きますっ…」
執事さんに呼び止められながらも、そのまま家を飛び出す。
星矢さんの家を出ると、まだ数回しか通ってない道を歩き、大きな道路にでる。
タクシーを拾い、目的地を告げる。
タクシーから見える窓の外は、まったく知らない街。
何も知らない街。
ーーどうしよう。
思い立って出てきたのはいいけれど、本当に良かったのだろうか。
そんな事を思うけど、だからといって引き返す事も考えられない。
心、落ち着かせるために。
戻ろう、
あたしの故郷に。