エージェント Ⅱ
2
“どうしよう”
そればかりが、頭の中を過ぎる。
無我夢中というよりは、思考が完全に停止していた。
後先のことなんて考えてなかった。
駅の改札を出て、現実を目の当たりにする。
ーーあたしに、帰る場所なんて、あるんだろうか。
見慣れた街、
つい数日前、死にものぐるいで逃げてきた駅。
地元からだとまた別の路線の特急に乗り換える必要があるんだけど、どうしていいのかもわからず、駅の外へと出た。
地元ではないとはいえ、大都会。
縄張りどうのこうのでシンヤやトラブルメーカーの人はあまり彷徨く事はなかった街。
それでも、西と比べると、やっぱり懐かしい。
あたしは、東の住人だ。