エージェント Ⅱ
「はぁっ…はぁ…」
追ってこないとわかっていても、どうしても逃げる癖がついているせいか、余計に走ってしまった。
自分の全速力で走ったせいで、息が苦しい。
自分の体力の無さに泣けてくる。
「ねぇ、大丈夫?」
「っ…!?」
背後から声をかけられ、ハッとして振り返る。
そこにいたのは、金髪の女の人。
「すんごい全速力で走ってたけど、誰かにおいかけられてたの?」
「あ、いえ…」
「ん?」
「あの、」
「ん?」
「ち、近いですっ…」
あたしが曖昧な返答をするせいか、グッと顔を近づけてくる女の人。
この人…この様子じゃ、さっきの見てたんじゃないの…?
なによりも、早く言えと言わんばかりの圧力を感じてしまう。