エージェント Ⅱ
彼女の後ろを歩いて着いたのは、さっきまでいた駅。
「あんたは地元へ帰りな」
「でも…」
「そもそもあんたがここ居ても居場所なんてないわよ」
「え、」
「え?じゃないわよ。あたしが助けるとでも思った?」
「いや、そういう意味じゃなくて…」
「あんたは一度、自分の目で確認してなさい。現実ってやつを」
そう言って彼女は去っていく。
彼女はーー不思議な人だ。
怖いのか、怖くないのか。
親切なのか、親切ではないのか。
あたしは揺さぶられてるんだろう。
「地元か…」
シンヤには会いたいし、会いたくない。
でもシンヤはあたしの居場所は俺の所って。
それ、信じていいんだよね?