エージェント Ⅱ
「っ…!?」
「シンヤっ…」
あたしも、シンヤの彼女もきっと、シンヤが負ける姿なんて見たことがない。
だからシンヤが怪我して、血を流して、それが信じられなくて。
「こんな弱っちぃのが、東の全面戦争企てようって、よう考えたもんやな」
「だ、誰だよ、テメェ…」
「お前さんなんかに知られてたまるか」
「美園、テメェが呼んだのかよっ…!」
シンヤの目が、あたしを責める。
怒りに満ちた目。
「あたし違っ…」
シンヤの手があたしの方へ伸びてくる。
だけどその手は、あたしに届くことはなく、地面に押し付けられる。
星矢さんの足が、シンヤの手の上に。
「何言うてんねん。見る目なさすぎや」