エージェント Ⅱ
2
「遅いわよ」
星矢さんと車に乗ってたどり着いたのは、大きくスプレーで"喧嘩上等"と書かれた、
東都第一高校。
そして、その門の前で仁王立ちしている女性。
「あ、」
あの時の、女の人…。
「あたしをどれだけ待たせたら気がすむのよ」
「そんなん俺のせいちゃうで」
「ふん。さっさと中に入れば。あんたも」
"あんたも"は、あたしに向けた言葉だとわかったのは、彼女の目があたしを向いていたことと、すでに星矢さんは彼女に言われる間も無く、堂々と中へ入って行ったこと。
「なぁ、ここシャワーないんか?」
「あんたに貸すようなシャワーないわよ」
「ちゃうちゃう、俺やなくて美園ちゃんの」
「は?」
彼女の視線が一気に険しくなった。