エージェント Ⅱ
新幹線の中では星矢さんが目を瞑っていたから、あたしも自然と眠ってしまっていた。
西の街に着く頃には、駅の中は通勤ラッシュの波だったけど、星矢さんは迷う事なく車の停めてある場所へと向かう。
黒いセダンに乗り込むと、そのまま発車する。
「星矢さん…」
「ん?」
「…すいません」
「ん〜。今、なんも考えたくないねん。そういうのあとでええか?」
「…はい」
少し、機嫌が悪いのだろうか。
新幹線乗るまではそんなになかったのに。
新幹線の中で、あたしなにかしちゃったのかなぁ…。
自己嫌悪になる。
星矢さんといると、どうしてもマイナスなことしか考えられなくなる。
星矢さんにとって、あたしって、何なんだろう。