エージェント Ⅱ
「ほら、トラジ。俺の言うた通りや」
「え、」
「マジかよ。君、セーヤに惚れたの?この男のどこがいいの?バカだぞ?」
「バカとはなんやねん!」
「あのっ、」
「ああ、ごめんな。セーヤと賭けてたんだよ。君はどっち選ぶかって。助けてほしいか、放っておいてほしいかって」
「俺は自信あったで!」
「俺の負けだよ。でも助けるってのは本当だから。そこは本当に嘘じゃない」
「あのっ…」
「ほな、美園ちゃん、帰ろっか」
「え、ええ!?」
「もう帰るの?早くない?」
「親父とオカンにも言うとかなあかんやろ」
「それもそうだな」
テンポよく会話が続けられて、あたしが入る余地もなく終わらせる。
そしてまた腕を引かれ、外に出る。