エージェント Ⅱ




「ほら、トラジ。俺の言うた通りや」

「え、」

「マジかよ。君、セーヤに惚れたの?この男のどこがいいの?バカだぞ?」

「バカとはなんやねん!」

「あのっ、」

「ああ、ごめんな。セーヤと賭けてたんだよ。君はどっち選ぶかって。助けてほしいか、放っておいてほしいかって」

「俺は自信あったで!」

「俺の負けだよ。でも助けるってのは本当だから。そこは本当に嘘じゃない」

「あのっ…」

「ほな、美園ちゃん、帰ろっか」

「え、ええ!?」

「もう帰るの?早くない?」

「親父とオカンにも言うとかなあかんやろ」

「それもそうだな」



テンポよく会話が続けられて、あたしが入る余地もなく終わらせる。


そしてまた腕を引かれ、外に出る。





< 14 / 178 >

この作品をシェア

pagetop