エージェント Ⅱ
「せ、いや、さん…」
ベッドに潜ると、星矢さんはあたしを抱きしめる。
ものすごく、ドキドキする。
「星矢さん、眠たいんですか…?」
「一日中寝てないんやから、しゃーないやろ。誰かさんは呑気に新幹線の中で寝てたけど」
「でも、星矢さん目を瞑ってて…」
「目を瞑ってただけや。誰に狙われるかわかんところで寝れるわけないやん」
「ご、ごめんなさ……んっ…」
ごめんなさいと言い終わる前に、口が塞がれた。
「あっ…」
息継ぎをしようと口を開けると、それはさらに深くなる。
「ちょっと黙って」
初めての感覚。
嫌な感じはしない。
星矢さんがなんでキスをするのかなんてわからない。
だけど、何故だか気持ち良くて、そのまま意識を手放していた。