エージェント Ⅱ
トラジさんに聞いて、星矢さんの場所を教えてもらう。
星矢さんは一人になりたい時によくいる場所。
溜まり場から少し離れた防波堤。
そこには、ひとりポツンと背を向けて座る星矢さんがいた。
あたしが近づくと、星矢さんは待ってたかのように振り向く。
「星矢さん…」
「トラジから聞いたんやろ?アイツらは俺の指示で動いたんやから、責めるなら俺を責めてええで」
「………」
「言ってたこと、ほぼ全部嘘や。美園ちゃんは簡単に流されやすくて……流されやすかったなぁ」
「………」
「俺は裏の世界の人間やから、人を騙すのが得意で、赤羽ん組の中でも、そーゆーのを専門としてるんや」
「………」
「美園ちゃんには弱みにつけ込むように、残酷なことも、残酷になるように裏工作したし。
嫌やったろ、あの男に抱かれるんわ」
星矢さんはどこまで読んでいたんだろう。
あたしがどうなるのか、結末までみていたのか。