エージェント Ⅱ
頬を包む手に、自分の手を添える。
「あたしは星矢さんを拒絶できるほど、強くないです」
「………」
「星矢さんがいなければ、この先はどうやって生きていけばいいのかわかりません」
「………」
「あたしには欲しいものがあります。だけどどうやって手に入れたらいいのかわかりません」
「………」
「だから星矢さんにお願いがあります」
「………」
「居場所をください」
星矢さんにお願いだなんて、失礼だと思ってる。
本当は住む世界が違う人。
「ハハハッ、美園ちゃんって、面白い奴やなぁ。そんなん言うやつ初めてや」
星矢さんはツボにハマったのか、ずっと笑っている。
「そんな笑わないでくださいっ…」
あたしが泣きそうになってしまう。