エージェント Ⅱ
なんか、胸がチクってする。
「その人、星矢さんにとってどういう人なんですか?」
「うーん。どういうって言うのは難しいけど、その人無くして宮前星矢の人生は語れない、そんな感じじゃないかな」
「………」
「美園ちゃんにとってのセーヤと同じだと思う」
うーん。
ますますわからなくなってくる。
「にしてもセーヤの奴、よっぽど疲れてたんだろうな。ここまで爆睡してるの見るのは久しぶり」
「そうなんですか?」
「馬鹿みたいにこの一週間、頭フル回転だったんだろ。仕事にエージェントに、美園ちゃんにって」
「………」
「仕事休んでまで、東へ行くなんてなぁ…」
"大事な時期だろうに"と、トラジさんがボソッと呟いたのは、目を覚ました星矢さんの大きな欠伸にかき消された。