エージェント Ⅱ




「………」

「俺を殺せば、宮前組の地盤は崩れるし、赤羽組での序列変動も起こる。

赤羽組での地位を高めたい奴、赤羽組を狙いたい奴は、誰を狙う?」

「……それは」



命が狙われやすいのに、居場所なんて与えられない。

そういうこと…?



なんだか虚しくなって、泣きたくなる。




「ああ、泣かんといてなっ!」

「っ…」

「えー、だからやな」

「…ぅっ…」

「狙われるんわかってんのに、ここに家具一式揃えてまで住まわせるわけないやろ」

「……っえ」

「いくら助けてやるって嘘とはいえ、オカンが気に入ったからとはいえ、そんだけの理由でここで寝泊まりさせるわけないやろ」

「え、えっ…」

「ほんま、馬鹿」




星矢さんは立ち上がると、そっとあたしを抱きしめた。




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