エージェント Ⅱ
トラジさんは色々と、この街のことを教えてくれた。
テレビで見ていたこの街の印象とは、さほど変わりはないけれど、何も知らずに一人で出歩かない方がいいって言われて、それには頷いた。
エージェントについても。
エージェントは他の暴走族とは違って、組の傘下にあるような族だということ。
西の若者のなかでは憧れ、隣に立つような族はいないとのこと。
ーーーそして、東と西は絶対に交じり合わないことも。
「ある程度の情報なら回って来るけど、俺ら西の連中は東の奴等とは関わりたくないし、あっちもだろうなぁ」
「…なんか、あたしが迷惑かけてます、よね…」
「そんなことない、一年前だったら厄介だけど、この数ヶ月でまた情勢が変わったから別にいいんだよ」