エージェント Ⅱ
嘘をついているような、そんな雰囲気は無くて。
だけどどこか、とても怪しい。
「ほな、行くで」
「ちょっと、人違いじゃっ…」
「そんなことあらへん。それともこのまま東から追っ手が来るの待っとくか?」
「それはダメっ…」
「せやろ?」
「でもっ、」
「あと早よ行こ。俺も目立つと困るんや」
逃すまいと強く腕を掴まれ、駅のホームを出る。
「雨ひっどいなぁ…走るで」
「え!?」
土砂降りの雨の中、二人傘をささず、駅から走る。
駅から少し離れたところに停めてある、黒い車。
明らかに怪しげな車だけど…。
「あーー濡れた濡れたっ!」
「…………」
やっぱりお目当は、この車だったみたい。