エージェント Ⅱ
2
溜まり場に行くと、まだバイクはチラホラとしか置いてなかった。
けれど中から聞こえてくる音は、外まで響いていた。
「来てるみたいだな」
トラジさんはそう言いながら中へと入っていく。
誰が来ているんだろう。
トラジさんの後ろを歩きながら、中にいる人たちを見渡す。
「とーーらーーじーーー!!」
大きく、高い声でトラジさんの名前が響く。
「相変わらずだな」
トラジさんは自分に抱きつく小さい男の子の頭をなでる。
トラジさんに思いっきりぶつかった男の子は、小学生くらいだろうか。
なんで小学生がここに…。
「このおねーちゃん、誰?」
少年の目が、あたしを見つめる。