エージェント Ⅱ




星矢さんはスタスタと廊下、そして階段を上っていく。



「あの、星矢さんっ…」



階段を上がる星矢さんに、思わず声をかけた。



「なに?」

「あの、」

「疲れたから、はよ寝たいんやけど」

「…すいません…」

「はぁ」



思わず声をかけたから、なんて言っていいのか、何を言っていいのかもわからないから、星矢さんから視線をそらす。



星矢さんからは、深い溜息。



きっとイライラしてるよね。




「美園ちゃん、言いたいことあるんなら、はっきり言いや」

「…………」

「それともあれか。自分では決めきれんのやろ」

「…………」

「自分が東の人間のままなのか、西の人間になりきれないのか」

「…………」

「自分でも中途半端ってわかってるから、余計に」




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