エージェント Ⅱ
封筒の中は、一万円札が10枚。
こんなにたくさん、どうしろっていうのよ。
「…こんなに、要らないです」
「必要な時にお使いになられていいと思いますよ」
「はぁ…」
特に何かをするわけではなく、封筒を持って部屋へと戻った。
星矢さんがいないと、何もすることがない。
あたしは、ひとり。
「あ、」
ふと目に留まったのは、以前使っていた携帯。
一度テツマさんが開いた時以来、何も開かずにいた。
さすがにもう、シンヤからの連絡は来てないだろう。
テツマさんからすぐ返してもらったけれど、どうせ使うことはないと思ってたし、開くなとは言われてない。
恐る恐る手に取った携帯。
思い切って、電源をいれてみた。