恋のカルテ
それから十分後。
駆けつけた救急隊員は駅員から状況だけ聞くと、男性をストレッチャーに乗せ、地上に停めてある救急車へと向かった。
私は慌てて駆け寄ると声をかける。
「すみません、私も同乗させてください」
「ご家族、ですか?」
「いいえ、違います。でも、関係者です」
無力さを実感した私は、医者ですとは言えなかった。
それでもこの男性の傍にいて出来ることをしなければ。
そんな使命感だけが私を突き動かしていたように思う。