恋のカルテ
-2
月曜日の朝。
私は早い時間に起きて病院へと向かった。
ロッカーで着替えると救急外で先生の姿を探す。
「……いない。どこにいるんだろう」
広フロアーの中で慌ただしく動き回るスタッフに話しかけることが出来ない。
うろうろとしていると、いきなりひとりの医者に呼びとめられる。
「ねえ、君」
「はい」
「研修医だろ? 手が空いてるなら血ガス測ってきて。データが出たら僕の所にお願い」
手渡されたのは細い注射器に入った血液。
「あの、私は……」
断ろうにもその先生は、すでに私の目の前からいなくなってしまっている。
「どうしよう、ここのフロアーのどこかに測定用の機械があるのかな」
きっとあの先生はこのデータをすぐに確認したいはずだ。でも、どうすればいいのか分からない。
「なにやってんだよ、よこせ」
突然背後から伸びてきた手が、持っていた注射器を奪い取る。