恋のカルテ

病院の西側一階に位置する救急救命センターから北側にある管理棟を目指す。

大きな建物の内部はちょっとした迷路のよう。

救急外来を通り抜けて見えてきた階段を上がり、管理棟と書かれた自動ドアを通り抜け長い廊下を進む。

見えてきたセントラルホールの入り口には簡易の受付テーブルが置かれていたが、もう誰の姿もない。

無理もない、時間厳守の入職式に何の連絡もしないで遅刻をしてくるなんておそらく私くらいだろう。

「どうしよう、でも取りあえず中に入らないと」

私は上がった息を整えると、三か所ある扉の後方を遠慮がちに開く。

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