恋のカルテ
「……なるほど。それって俺の責任でもあるよね。ごめん」
話し終えると森くんは小さく頭を下げた。
「え、なんで? 違うよ。森くんのせいじゃないし。きっといつかは別れる運命だったんだと思うよ。この間森くんが言ってたでしょ? 私たちの仕事を理解するのは難しいって」
「ああ、いったね。何も知らなかったから結構いいたい放題」
「うん。でも、それが真実だと思うからもういいの。それにいつまでもくよくよしていられないもん。来週から本格的に初期研修が始まるでしょ?」
「そっか。そうだよね。じゃあ、今夜は決起会ってことで盛大に飲もうか」
「そうだね」
「でも、高原さんは程々にしないとね」
森くんに釘を指されてしまった。確かに私はお酒に弱い。
今日もまた森くんに迷惑をかけるわけにはいかないだろう。
「分かってます。途中からノンアルコールね」
「分かってるならよろしい」
二人で笑い合って新たにカクテルを注文すると、二人だけの決起会に乾杯をした。