恋のカルテ
なんて思いながら大津さんを見ていると、「高原さんも早くパソコン借りたほうがいいよ」と、発破を掛けられてしまった。
「うん、そうだね」
周りを見渡してみる。すると、夜勤と出勤してきた日勤の看護師で入り乱れたナースステーションはまるで戦場のような慌ただしさだ。
「……すみません」
必至で声をかけてみたが、聞こえなかったのか振り向てさえもらえない。仕方なく別の看護師に聞いてみる。
「あの、パソコンをお借りしたいのですが」
「先生たちのはそっちのカウンターの横の二台」
「……はい」
そのパソコンはすでに別の先生が使っているのに。思わずため息が漏れる。
こんな場所で私はやっていけるのだろうか。
只ならぬ不安を覚えつつ、どうにか空いているパソコンを見つけることが出来たのに……、電子カルテを開く間もなく朝のカンファレンスが始まってしまった。
月曜朝は医師も参加して行うのが決まりらしく、私は仕方なく五十嵐先生の後ろに並んで早口で語られる患者の容体や今後の方針について耳を傾けながら必死でメモを取った。