恋のカルテ
「何の話?」
「なんのって……、さっき五十嵐先生がおっしゃっていたじゃないですか。その……、女医さんとの話」
「ああ、あれか。全く余計なこといったよな。まあ、彼女とは色々あったわけだけど……もしかして、妬いてる?」
「違います!」
「じゃあ何? もしかしてオレが禁欲生活を送っていることをかわいそうだと思った? だったら、抱かせてよ」
先生はいいながら私の髪を撫でながらひと束すくってそれにキスをする。
髪の毛にまで神経が張り巡らされているわけではないのに、先生の熱が伝わってくるようだ。
「何ならこのまま一緒にシャワー浴びる?」
「……あ、浴びません。それに私、山田さんのセカンドオピニオンについて、調べなきゃいけないので」
思い切り早口でそう告げると、先生は掴んでいた毛束を惜しむように離す。
「残念。じゃあ、ひとりで入るかな」
「そ、そうしてください」
私は先生の体をバスルームに押し込むと、そのドアを閉めた。