恋のカルテ
思った通り、この時間の食堂には誰の姿もない。
観葉植物で入り口から陰になる席に座ると、まだ温かいココアの缶を両手でギュッと握る。
「……ごめん。本当に悪かったと思ってる」
おもむろに口を開いた圭人は、いいながら頭を下げた。
「それって、どっちのことを言ってるの?」
「どっちって……」
「別れようって言ったこと? それとも、私を突き飛ばして傷をつけたこと?」
「それはもちろん、両方だよ」
圭人は申し訳なさそうに目を伏せて、話を続けた。