恋のカルテ

 心のわだかまりはまだ完全に消えたわけではなかったけれど、私は圭人の所へ戻ることにした。

佐伯先生との関係は私に新しい恋人が出来たら解消する約束になっている。帰宅した先生に私はここを出たいと伝えた。

「出てくって、どこへ?」

「……元いた所へ戻るつもりです」

「前の男の所に戻るのか?」

「はい。和解することができたので、また一緒に暮らそうと思います」

「そうか。高原が決めたなら、オレは何も言わない。そう言う約束だったし」

「……そうでしたよね」

もしかしたら、引き留められるかもなんて期待した。でも、すごくアッサリと許可が下りた。

だからほんの少し寂しい気持ちになる。ひと月半、先生との生活は総じて楽しかった。

頑張る私の支えだったことは間違いない事実で、出来るならこれからもそうであって欲しいと願う。

「じゃあ、最後にしようよ。セックス」

「バ、バカなこと言わないでください」

「だって、モノ欲しそうな顔してオレのこと見てるから」

「見てません! 少し寂しいなって思っただけで」

「だから、その寂びしさを埋めてやるって言ってんの」

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