恋のカルテ



「それならオレが、お前の恋人になってやるよ」



どうしてこんなことになってしまったんだろう。

まるでモデルルームのようなマンションに連れてこられて、ベッドに押し倒されて、服まで脱がされている。

目の前にいるのは救急科の医師、佐伯朝陽。

出会ってからまだ、数日しか経っていない。そんな先生が私の恋人になるなんて、ムリに決まってるじゃない。

「……私、帰ります」

そう叫んで大きなベッドから飛び起きると、すでにはぎとられていたブラジャーをフローリングの床から拾い上げ、どこにあるのかも分からないワンピースを探した。

たくさん飲んだアルコールのせいで足元はおぼつかない。

だからすぐ、伸びてきた腕に捉えられて、私はあっけなくベッドへと引き戻されてしまった。


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