恋のカルテ

 その日の救急外来は、午後十時を過ぎても、診療待ちの患者数が約二十を超えていた。

私はサポートの佐伯先生と一緒に患者の対応に追われている。

頑張って診察をこなしているつもりでも、患者の数は全く減る様子もない。

「まだまだ来ますよ。さっき電話が鳴ってました。救急車の受け入れは少ないのに、外来はやけに混んでて、患者さんに早くしろって怒鳴られちゃいましたよ」

問診票を持ってきた看護師がため息交じりに愚痴をこぼす。

「そうか。じゃあオレが診察を代わるよ。落ち着いたらまた戻ればいい。その間、高原はトリアージに行って来い」

佐伯先生は私に問診票を手渡した。

「……トリアージ」

「そうだ。看護師が受付の時に症状を聞いて、優先順位を付けてくれるんだけど時間が経てば、状況も変わるだろう。とにかく行って来い」

診察室から放り出される形で、混雑している待合室に向かった。


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