恋のカルテ

 翌朝。慌ただしかった救急外来がようやくいつもの落ち着きを取り戻した矢先、救急車受け入れ要請のホッとコールが鳴り響いた。

搬送されてくるのは、自宅で倒れた意識不明の八十代女性。同乗者は夫。他の家族は自家用車で病院に向かっている。

「……まさか」

私の胸がざわざわと騒いだ。

「どうした、高原」

「いえ」

「早く受け入れ準備をしろよ。」

「今やってます」

到着まで三十分。やがて救急車のサイレンが近づいてきた。

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