恋のカルテ
はあ、と小さなため息をついてリビングのソファーに座ると、テレビのスイッチを入れた。
やがて玄関のドアが開く音がして、リビングのドアが開く。
「ただいま、加恋」
「お帰りなさい、圭人。遅かったね」
圭人は疲れた様子で重そうなカバンを床に降ろし、右手でネクタイを緩める。
「ああ、うん。今年認可されたばかりの新薬に、重篤な副作用報告が上がっててさ。明日は朝から担当施設にレターを配布して回らないといけないんだ」
言いながら圭人は寝室へと入っていく。
それからいつものように部屋着に着替えた圭人は、私の横に腰を下ろした。