恋のカルテ
「はい……うん、そう。分かった。今行くよ」
電話を切った先生はベッドから起き上がってハンガーに掛けてあった白衣を羽織る。
「お前のあの患者、今日オペなんだ。何度説明しても不安で仕方ないらしい。今からまた話をしに行く。だから高原も一緒にこいよ」
「いいんですか?」
「もちろん。お前、今朝様子を見に行ったんだろう? それでまんまとパシられてここにいる」
「なんでわかるんですか?」
「あ? それはオレが天才だからだ」
天才じゃなくて変態の間違いではないですか?
そう悪態をつきながら、私は、歩き出した先生の背中を追いかけた。