恋のカルテ

できれば参加したい。

みんなと仲良くなれるチャンスだし、こんな時間を作れるのも今くらいだろうし。

でも、私には圭人との約束があったから。

「ごめん、今日は行けない」

「え、行かないの? 今日は金曜だよ、明日は休みなんだよ? 俺、高原さんも来るからって大津くんにいっちゃったんだからね。お願い、参加して」

両手を顔の前で合わせる私に森くんは不満げに口をとがらせる。

「ほんとごめん」

「つれないな……でも仕方ない。男ばっかでむさくるしいけど楽しんでくるか」

「そうだよ、私の分も楽しんできて。大津さんには自分で断ってくるから」

職員食堂を見渡すと、大津さんは窓際のカウンター席で別の同期とご飯を食べていた。

食事を終えると私は大津さんの所へ行き、飲み会に参加できないと伝える。

すると「気にしないでいいよ」といいながら、「また企画するから今度は参加してくれたらうれしいな」そういってくれた。

その日の講義が終わると私は、集合場所を決めているみんなに軽く頭を下げて、ロッカールームへと向かった。

これで今日は帰れる、そう思ったのに。

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